リスペクト

2009年3月30日 (月)

貧困のない世界を造る

2006年度ノーベル平和賞受賞者、ムハマド・ユヌス氏の著書「貧困のない世界を造る」という本をいま読んでる。これまでいろんな本と出合い、感化されたり、影響受けたりしたけど、この本はその中でもちょっと衝撃的というか、大袈裟にいうと人生観が変わるような一冊かも。

ユヌスさんと言えば、出身国バングラデシュで、何の担保も持たない貧しい人たちにのために、グラミン銀行を作ったことで知られる。この本にはその経緯についても触れられているが、メインのお話は彼が唱える「ソーシャル・ビジネス」について。

簡単に言うと、社会には営利を求める企業、つまり普通の会社があり、これとは対照的に、非営利の団体、例えばNGOだとかNPO、ボランティア組織なんかがある。国際協力という視点でいえば、最近は社会貢献活動、いわゆるCSR活動を行う企業が増えてきたが、それはあくまでも利益の一部を社会に還元するという性質のもので、企業の実績が下降したり、昨今のような不況下では、どうしてもそうした活動は消極的になる。一方、NGOやボランティア組織は、無償で発展途上国への支援活動を行うが、善意の寄付などに頼らざるを得ないから、経営を安定させるのは難しく、そこで働く人たちの収入は一般企業と比べ、かなり低いのが現状だ。

ユヌスさんが唱える「ソーシャル・ビジネス」というのは、その営利企業とNGOやボランティア組織の、いわば中間に位置するような存在で、普通の企業のように営利活動を行うが、その対象(商品を売ったりする対象)は貧しい人々であり、その目的は、あくまでも会社や社員、株主が儲けてお金持ちになることではなく、貧しい人を貧困や病気などから救うこと。

つまり、ソーシャル・ビジネスとは、「社会的な目標を達成するための企業」。

この考え方にもと基いたプロジェクトは、すでに動き出している。彼の考えに共鳴したフランスの企業(ダノン)が協力し、バングラデシュ国内に、グラミン・ダノンという会社(というかソーシャル・ビジネス)を作って、非常に安い値段でヨーグルトなどを販売している。これによって、地域の貧困層の子供たちの健康状態が改善されつつあるという。

こうした企業活動で得られた利益は、普通、会社や株主に還元されるが、ソーシャル・ビジネスで得られた利益は、また次のビジネス、つまり貧困者のためのビジネスに使われる。また、そこで働く従業員の収入は、一般的な企業並みに保たれる。

彼はこの本の中で、「企業は利益を上げようという動機で動く。つまりは個人的な収入への欲求である。ソーシャル・ビジネスは人間と地球にとって良いことをしようという欲求によって動かされるものである」と言っている。

アメリカでは、世界的な不況を引き起こした当事者たちが、平気で何十億という巨額のボーナスと受け取っていたことが判明して問題になっている。そうした現状を見ると、果たして彼の言うように「人間と地球にとって良いことをしようという欲求」が、どれだけ「個人的な収入への欲求」を上回れるかは分からない。

でも、アメリカ式の行き過ぎた資本主義が限界にきていることに、世界の人々も気づきはじめているのは確かだろう。企業とボランティアという、両極端の間に立つ何かを、社会が必要としているのかもしれない。

そして、人間は自分がハッピーな存在になることと同じくらい、人がハッピーになることを喜べる存在なのではないだろうか。

この本を読み終えたら、ユヌスさんのいう「ソーシャル・ビジネス」を、自分なりにもっと掘り下げて、考えてみたいと思う。

2009年3月10日 (火)

きょうの一句

「世界のどこかで、ある不正が誰かに対して犯されたならば、それがどんなものであれ、それを心の底から深く悲しむことのできる人間になりなさい」。

チェ・ゲバラが、愛する子供たちに向けて書いた手紙の中の言葉。

グっとくる。

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